11月4日(水)、古代瓦研究の第一人者である故 森 郁夫本学名誉教授の絶筆となった書籍「一瓦一説 瓦からみる日本古代史」が、「第3回古代歴史文化賞」の優秀作品賞を受賞しました。
古代歴史文化賞は、島根県、奈良県、三重県、和歌山県、宮崎県の5県が連携して日本の古代世界を学術的基盤に立ちながら、一般の読者に対してわかりやすく執筆された書籍を表彰するもので、平成25年に創設されました。
今回は、歴史文化の専門家39名と出版社47社から49点の推薦があり、そのうちの5作品が同賞を受賞し、「一瓦一説」は優秀作品賞に決まりました。
「一瓦一説」では、飛鳥寺、法隆寺、平城京などの約50カ所の出土瓦を写真とともに取り上げ、それぞれの瓦の時代背景や文様、特色などをわかりやすく解説しています。
この書籍は、森名誉教授の門下生である、本学考古学研究所特別研究員の甲斐弓子さんが「一般の人にも瓦を1点ずつ、わかりやすく解説した本を」と森名誉教授に勧めたことがきっかけで書き始められました。
師である森名誉教授から後を引き継がれた甲斐さんは、原稿の補足や瓦の写真の選定に携わりました。約1年におよぶ、言葉と写真を丁寧に選び抜く緻密な作業の後、出版されました。
甲斐さんは「原稿の補足に間違いがあってはいけない、瓦も森先生が思っていらっしゃったものとあっているかどうか、という自問自答の日々を思い出します。今回、賞に選ばれたことで、森先生から『よかったよ』と言っていただいているようで、ほっとしています」という受賞のことばをいただきました。
師と門下生の心のこもった一冊、「一瓦一説」。
ぜひ一度、お読みください。
【書籍情報】
「一瓦一説 瓦からみる日本古代史」(森 郁夫/著)
四六判 240頁、淡交社