10月10日（土）、本学特別客員教授 寺島 実郎 氏による特別公開講座「」を近鉄学園前駅前の奈良市西部会館市民ホール（学園前ホール）で開催し、新型コロナウイルスで定員を制限したなか、一般市民や学生を含む約110人が聴講しました。
寺島氏は日本の経済や世界情勢を考える上で認識しておくべき重要な事象をテキストをもとに解説。コロナ感染で当初は日本の死者が42万人に上ると予測されていたという事実に触れ、新型コロナウイルスに関しては正しい情報を探して知の再武装を行うことが重要であると話し、「学ぶことの大切さ」について力説しました。
かつて興隆を極めた製造業大手企業の株価時価総額は、いまやGAFAの一翼を担うApple社の10分の1であると指摘する寺島氏は、これまでの日本の好況感は「株価幻想」に支えられていたということが、コロナ禍により一層明らかになったと解説し、GDPシェア率が下げ止まらず、世界経済のなかで埋没する日本が現状から脱却するためには、「繁栄の豊かさから安心、安全、幸福を基盤としたモデルへの転換が重要」であるとの見解を示しました。
また、食料自給率の低さにもかかわらず、コロナ禍において東京で食糧パニックが起きなかったのは、物流やスーパーなどのLogisticsがしっかりと現場を支えたことが要因であると分析し、Realに目を向けFundamentalsに回帰し、これからの日本は防災や医療、食や農に関する産業を中心に発展すべきであると提言し、講演を締めくくりました。