帝塚山大学と生駒市図書館の公開講座「日本を代表する春日龍神信仰」を11月25日、生駒市図書会館市民ホールで開催し、特別客員教授の花山院弘匡(春日大社宮司)氏が春日大社の龍神神信仰について解説し、110人を超える参加者が詰めかけました。
平成元(1989)年から始まった生駒市図書館との本共催公開講座は、本学が取り組む地域連携、貢献事業として地域に深く根付いたものの一つで、今年で32回目の開催となります。
例年は250名を定員とする本講座も、新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から定員を半数以下に減じ、感染防止に万全の対策を講じての実施となりました。
花山院氏は、春日大社の龍神信仰は、奈良が古くから雨の少ない盆地で、水不足が命にかかわる重大事であったことに由来すると指摘。『大和物語』に著された、帝の寵愛を失ったことを嘆き悲しんで猿沢池に身投げした采女(うぬめ)の物語を紹介し、もともと猿沢池に棲んでいたとされる龍王はその采女の身投げによる穢れを嫌って春日山の香山(こうぜん)竜王社に移り、のちに室生龍穴神社(宇陀市)に移ったという伝説を交えて、春日大社にまつわる龍神信仰について解説しました。
また、天より雨を降らせ、すべての生命の源となる水を司る龍神とその龍神が住まう水源地「春日山原生林」に対する人々の厚い信仰は、水道で簡単に水が手に入るようになる明治時代まで特別の意味を持っていたと話しました。