本学と生駒市図書館は公開講座「食と仏教」を7月28日、生駒市図書会館市民ホールで開催しました。特別客員教授の興福寺 寺務老院 多川俊映 氏が食をめぐる仏教の考え方について講演し、約100人の市民が参加しました。
平成元(1989)年から始まった生駒市図書館との共催公開講座は、本学が取り組む地域連携、貢献事業として地域に深く根付いたものの一つで、今年で33回目の開催となります。
多川氏は、釈尊の一族が農業にゆかりの深い名前を持つことや、厳しい修行で衰弱していた釈尊が、村娘スジャータから乳粥の供養を受けて元気を取り戻し、菩提樹下で悟りを開いた話などを紹介し、仏教と食のかかわりについて歴史からひも解きました。
また、仏教の食に対する考え方として、「四食(しじき)」を紹介。段食(だんじき)、触食(そくじき)、意思食(いしじき)、識食(しきじき)という4種類の食べ物について解説しました。
段食は通常口にする食べ物で、身体を形作るもの。職食は人と人との触れ合いを指し、心の栄養となるもの。意思食は、夢や希望などの意志を表し、職食は耳で聴いたり、肌で感じることなどの環境のことであり、これら4つすべてが人間が生きる上で食事と同じく大切なものであると説明し、心と身体を健康に保つには、この四食のバランスを保つことが大事であると説きました。
多川氏は、コロナ禍で触食の機会が減るなど、四食のバランスが崩れている現代の状況について触れ、このような時代だからこそ身体だけでなく心を養う「食」について思いをめぐらせてほしいと語りかけると、参加者は深く感じ入った様子でペンを走らせていました。