11月25日、「住宅防犯研究の最前線」と題した講義を、積水ハウス株式会社の総合住宅研究所に所属される研究員の方を招いて行いました。本講義は、今年で8年目となった奈良県警察本部と連携して開講する「防犯ボランティア講座」の一環で実施したもの。警察官や行政職をめざす法学部の学生が全15回の講義を通じて、警察や行政の活動と並行する自主防犯活動について現職警察官や専門家から実践的に学びます。
研究員の方に、住まいへの侵入を阻む防犯仕様「守る防犯」、見た目で侵入の難しさをわからせる「見える防犯」、万が一の場合には異常を知らせる「知らせる防犯」を中心に、住宅防犯技術の最先端について解説。戸建て住宅侵入の手口としてガラス破りと無施錠が8割を占めることや、外構や植栽などがない見通しの良い家は、侵入者を心理的に「足を踏み入れやすくさせる」など、住宅防犯にかかわる基礎知識を説明していただきました。
学生も参加してのガラスの強度実験では、4種類のガラスの上から実際に鉄球を落下させ、割れるまでの高さを比較しました。実験で割れなかったのは「強化ガラス」。ただし、ハンマーで叩くと粒状の粉々になってしまいました。一方、ガラスの間にシートを挟んだ「合わせガラス」では、強化ガラスよりも低い高さでひびが入ったものの、ハンマーで叩いてもなかなか穴が開きません。手が入るくらいの穴が開くまで時間のかかる「合わせガラス」が侵入者を防ぐには最適であるとの解説がありました。
学生の一人は「防犯のために、住宅にこれほどの対策がされているとは知らなかった」と話し、安心なまちづくりのためには、パトロールなどの防犯活動だけではなく、住まいのハード面の対策強化も重要な要素であることを学んだようでした。