9月21日(土)から12月1日(日)にわたり、奈良県立民俗博物館で開催する秋季特別展示「絵と道具でたどる昔の奈良のくらし」の開催初日、展示開催にあたってご協力をいただいた永井清繁氏のご係累の方々や地域の方々の列席のもと、開会式を実施しました。
同特別展示は、帝塚山大学では、文部科学省平成29年度私立大学ブランディング事業に採択された「『帝塚山プラットフォーム』の構築による学際的『奈良学』研究の推進」の一環として、本学と県立民俗博物館が共同で実施。本学文学部日本文化学科の高田照世教授が推進する天理市福住地区の民俗調査の研究成果に基づき、県立民俗博物館が所蔵されている昔の生活用具や民具に加えて、福住町で生まれ育った永井清繁さんが繊細なタッチで表現した往時の生活図のパネルを展示するというものです。
開会式では、主催者である同博物館の東秀行館長、蓮花一己学長から挨拶の後、帝塚山大学出版会より刊行された『奈良山里の生活図誌 永井清繁画・解説(高田照世 編集)』の贈呈式を行いました。この書籍の贈呈は、今回の展示パネルのもととなった永井清繁氏の描いた生活図を収録した同書籍を、特別展示期間中に同博物館を授業で訪れる小学校(団体見学)に郷土教育の学習教材として活用いただくことを目的としています。
蓮花学長は開会の挨拶のなかで、本学文学部の学生や大学院人文科学研究科の大学院生が本展示開催にさまざまな形でかかわったことに触れ、「大学で身につけた専門的な知識で奈良の新たな魅力を再発見し、新たなかたちで発信するということこそ、本学が取り組む「奈良学」の根底にある考えでもあり「実学の帝塚山大学」を標榜する本学の学びの真髄である」と努力を続けてきた学生たちを激励し、またこのような実践的な学びの機会を作ってくださった県立民俗博物館に対して謝辞を述べました。
開会式の後、同博物館にインターンシップで派遣されている、人文科学研究科日本伝統文化専攻博士後期課程の清水智子さんが、開会式列席者や見学者を前に自身が担当した特別展示について解説を行いました。
絵に描かれた「とんび」や「ステッキ」など、一つ一つの展示品を丁寧に説明していく清水さん。指導教員の高田教授や県立博物館の学芸員の方が心配そうに見守るなか、緊張しながらも最後までやり遂げることができました。聞けば、展示が完成したのは前日の夜遅くだったということで、清水さんの解説が終わったとたん、学芸員の方が清水さんの奮闘への賛辞を伝えながら思わず感涙する姿も。
二人に向けて見学者からは一際大きな拍手が贈られ、会場はあたたかい空気に包まれました。