平成30年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
大学等の機関においては、学際的な研究が一層進展し、新たな知識や価値を創出するために、多様な専門性を持つ人材が結集し、チームとして活動することが求められるようになっています。また、産学連携推進体制の構築、倫理や感性など人間性に関する素養を高める教育も重要となっています。さらに、「グローバル化」や「地方創生」に加え、「第4次産業革命」や「人生100年時代」といったキーワードが頻繁に耳にされるようになるなど、社会全体の構造は大きく変化しています。これからの予測困難な新たな時代を生き抜くことのできる力を身につけた人材を育成するため、大学においては、変化に迅速かつ柔軟に対応できる教育研究体制を構築していくことが強く求められています。
帝塚山大学では、「実学の帝塚山大学」を標榜し、「品格のある大学づくり」をめざし、その実現のために「教員と学生が共に学ぶ」ことに重きを置いています。これは、帝塚山大学を設置する学校法人帝塚山学園が掲げる「子供や若い人達は学園の宝」との教育の理念が根本にあります。
学生を宝物のように大切にしつつ、自立し、やがて社会へはばたいていくまでを「教える」教員と「育つ」学生との共同作業により、サポートしていくことが、帝塚山大学の使命と考えています。「実学の帝塚山大学」とは、大きく変化する将来を見据え、「人生を豊かにする力を身につける教育」だと考えています。
大学生活において学生は、体験学習や実習、さらに、「プロジェクト型学習」やフィールドワーク、地域連携活動などを通して、さまざまな社会的体験を積み重ねることが必要であり、本学ではとくにこの点を意識した教育に力を入れてまいります。
また、「品格のある大学づくり」については、学生を品格あるいは気品ある人材として育成し、社会に送り出すことを最終的な目標とするのは当然ですが、これと並行して品格を感じるアカデミックなキャンパス創りにも取り組んでまいります。
昨年は、文学部日本文化学科と現代生活学部居住空間デザイン学科との連携により、大学が所蔵する文化財である古代瓦の様々な瓦当模様を活用して、帝塚山大学オリジナルの「幡」を製作し、11月の虹色祭(大学祭)にて華やかにお披露目しました。本年はこれに続く新たなプロジェクトとして、「古文書解読を通した中近世の大和の献立再現」などを展開し、大学の活性化を推進します。
このような「教員と学生との距離の近さ」については、昨年、大学通信社が刊行したランキングブックにおいて、帝塚山大学が「面倒見のよい大学」として、全国約780の国公私立大学のなかで「35位」、近畿圏では「5位」となるなど、社会に広く認知されつつあります。この「面倒見のよい大学」は、高校の進路指導の先生方の評価によるもので、大手の大学に並び、本学が近畿圏5位に選ばれたことには大きな意味があります。本年は、「面倒見のよさ」とは何かを戦略的に追求し、さらに上位をめざします。
帝塚山大学は、本年も改革を進めてまいります。学部組織の改編も積極的に行い、まず、本年4月には経済経営学部を設置します。同学部では、「金融/不動産スペシャリストプログラム」、「公務員プログラム」、「国際観光ビジネスプログラム」、「流通業界プログラム」、「企業実務プログラム」といった希望の就職を実現する5つの多彩なプログラムを用意するとともに、実社会で武器になるさまざまな資格の取得、コミュニケーションを意識した英語力の習得を支援します。
また、既存の文学部2学科を再編し、「歴史・文化財コース」「文学・表現コース」「文化創造コース」の3コースからなる「新生」文学部が始動します。学びと就職を実現する多彩な実学プログラムとして、「文化財プロフェッショナルプログラム」、「中学高校国語・地理歴史教員プログラム」、「日本語教員養成プログラム」、「創作文芸・出版プログラム」、「古文書・古典籍プログラム」、「書道プログラム」を開設します。
さらに、心理学部のカリキュラムについて、新たな国家資格である「公認心理師」に対応したものへと大幅な見直しを行います。
このほか、平成31年4月開設予定の「教育学部」の設置にかかる準備も進めており、社会のニーズに応える人材育成を実現するため、本学はさらなる改革を続けていきます。
研究面においても、先般、文部科学省私立大学研究ブランディング事業の選定を受けた「『帝塚山プラットフォーム』の構築による学際的『奈良学』の推進」を展開します。
教員の研究を基盤とし、教職員と学生が本学が提唱した「奈良学」にちなんだ様々な活動に取り組んでいきます。全学的な取り組みを通して大いに成果を上げ、帝塚山大学のブランド力の向上をめざします。
本学は本年も地域に根ざした「実学の帝塚山大学」として教育研究活動に一層取り組んでまいる所存です。
本学へのご支援、ご協力を心よりお願い申し上げ、新年のご挨拶といたします。
平成30年1月吉日
帝塚山大学
学長 蓮花 一己