「女性の働き方と生き方」をテーマとした「講演会&座談会」を、1月20日、生駒市テレワーク&インキュベーションセンター「イコマド」で開催しました。
本学が、生駒市、生駒商工会議所、生駒市観光協会との産官学連携のもとに、今年7月から連続9回実施してきた「産官学連携セミナー」の集大成として、特別に女性対象に開催したもので、女性の働き方の多様性(ダイバーシティ)に関心のある一般市民や大学関係者ら約30人が会場に詰めかけました。
講演会では、地域貢献に取り組む千葉県の不動産会社「大里綜合管理」の代表取締役、野老(ところ)真理子さんが「女性の働き方と生き方」について講演を行いました。
野老さんは社長に就任してから3年目の1996年、同社管理の土地で地元大学生の命を事故で失ってしまいました。「何故見張りをつけなかったのか。気づけなかったことが、すべての原因。今でも後悔の念が消えない」この事故をきっかけに、同社は大きな変革を遂げます。
その後、地域の清掃活動を通じて、事故の防止のためには、気づくことが何よりも大切であると学んだと語る野老さん。気づく訓練を通じて見えてきた地域の課題に積極的に取り組んだ結果、今では300種類を超える地域活動を会社ぐるみで行うまでになりました。
ただ、会社であるからには、利益はかなりシビアに捉えているとも強調。その地域活動は決してボランティアではないと野老さんは断言します。「地域を元気にする会社」という評価を世間から頂けているのだとすれば、それは「誰かの役に立つこと、喜ばれることをやる」「お金を稼ぐこと、お金にならないけど大切なことを両立させる」という観点で、一人ひとりが気づいたことをやるようにしてきたからこそだと、力強く参加者に語りかけました。
続く座談会では、本学の菅万希子学長補佐がコーディネーターを務め、野老さんや生駒商工会議所の中田光子女性部長、(株)ワイズスタッフ代表取締役の田澤由利さん、奈良県助産師会 監事の高橋律子さん、生駒市職員の鈴木恵さん、そして本学法学部3年生の内田実花さんら、経歴や年代の異なる女性6人が、「女性の働き方と生き方」について意見交換を行いました。
菅学長補佐のパネリストの本音を引き出す巧みな司会ぶりが光り、立場の異なる女性が集まったからこその多種多様な意見が交わされました。また、パネリストの温かな人柄がうかがえるコメントに、会場がどっと沸くこともしばしば。どこかアットホームな雰囲気が漂う座談会となりました。
会場からは「男性社会の中でどうやったらうまくやっていけるか」「多様な仕事のあり方、生き方は可能か。女性に制約はないのか」など、多くの質問が上がり、パネリストらはそれぞれに真摯に答えていました。
学生代表としてパネリストで登壇した内田さんは、「先輩女性たちの意見を聞いて、思い通りにならないことも多いのだと実感した。それでも自分に制限を加えることなく、柔軟な生き方を模索していきたい」と語り、社会の第一線で活躍する女性パネリストらに大いに刺激を受けた様子でした。
「女性は、誰かの役に立ちたい、何かとつながっていたいといったことを重視する傾向にあることが調査からわかっている。年齢に関係のない柔軟な生き方を追い求めることで、人生を楽しめばよいのではないか」菅学長補佐が座談会をまとめると、パネリストも参加者も納得したように深くうなずき、会場は大きな拍手で包まれました。
座談会後も、パネリストや参加者が和気あいあいと談笑する姿が見られ、いつまでも話題が尽きないようでした。